オートキャド(AutoCAD)のモデル空間で図面をまとめる際に、異なる縮尺の図面を記載する場合にどうすれば良いか。

前回はそうしたテーマで色々と説明してきました。

モデル空間だけで図面を完結させようとすると、異なる縮尺の図面、例えば詳細図を載せる場面で困る事になります。

オートキャド(AutoCAD)の基本ルールである「作図対象をそのままの大きさで作図する」を破る訳です。

寸法記入の際に拡大した数値を自動的に記入してくれたり、作図の際には自分の頭の中で計算をしながら作図をしたり。

本来しなくて良いような作業が発生するので、効率が良いか悪いかで考えると、少なくとも良くはないですよね。

ただ、オートキャド(AutoCAD)側もそうした状況を想定していない訳ではありません。

モデル空間内で拡大した図面を記入する際に、寸法も全てて入力にならないような設定を用意してくれてます。

この設定を調整すれば、モデル空間内で図面を20倍とかにした場合でも、寸法の数値だけは自動で計算してくれるようになります。

これは色々と応用が効く設定ですから、今回はその「モデル空間で寸法値を自動変換する設定」を取り上げてみます。


■5倍にした図形で試してみる

前回は例として、20倍に拡大した図形と寸法を紹介しましたが、20倍だと差が大きすぎて説明しにくいです。

最初から気づけば良かったんですけど、今さら前の記事を修正するのはちょっと抵抗があります。

それはちょっと時間が勿体ないので、今回は説明しやすい例として、5倍に拡大した図面例を用意しました。

 

5倍に大きくしたサンプル

 

縮尺1/50の図面内に、縮尺1/10の図面を表現したい場合などで、図形を5倍にする機会はあると思います。

もうこの計算は大丈夫ですよね。

5倍にした訳ですから、500mm四方の四角形は、それぞれの辺が5倍されて2500mm四方となってます。

でも実際のサイズは500mmが正解な訳ですから、この数値を何とか自動で500に修正したいところ。

 

■手動で書き替えでも良いか

ただ、自動で計算してくれる状態にこだわって、その設定に時間がかかってしまうという心配もあります。

それならば、あまりお勧めは出来ませんが、手動という選択肢もあります。

今回の例では寸法が2箇所しかないので、こうして文字編集で修正してしまった方が多分早いです。

 

文字編集で上書きしてみる

 

しかしこうして手動で寸法値を上書きしてしまうと、後で以下のような問題が発生する可能性が高い。

・図形を編集しても数値が500から変わらない

・追加した寸法を全部自分で計算して記入する必要がある

・寸法が増えると手動で記入したかどうかの管理が難しくなる

・要するに間違える可能性がかなり高くなる

最初に手軽だからという理由で、安易に手動で編集という手段を取ってしまうと、後で苦労をすることになります。

基本的にオートキャド(AutoCAD)では、今回紹介したような、寸法値の上書き編集はお勧め出来ません。

それならどうするのかという設定を、ちょっと長くなってしまったので、次回に詳しく説明をしたいと思います。