今までオートキャド(AutoCAD)の機能であるペーパー空間を、出来るだけ効率よく使うためのポイントを紹介してきました。

かなり長い話になってしまったのは、ちょっと話が逸れてしまったこともありますが、やっぱり覚えておきたい項目が多いから。

そんな長い話も、今回でようやく最後になりそうです。

ペーパー空間を使う際には考えておくべきことがたくさんあって、多少面倒に感じる場合もあるかも知れません。

でも、ペーパー空間を便利に使いこなす為には、やっぱりそうした細かい部分に気を使った方が良いです。

というか、結果的には楽が出来るとう感じです。

後で楽をする為に、今はちょっと大変かも知れないけれど、ペーパー空間の特徴や設定を覚えてしまう。

もしくは逆に、覚えるのが面倒だからペーパー空間は曖昧にしておき、結局後で良く分からなくて苦労をする。

どちらも結局は大変な思いをする訳で、それなら最初だけ大変な方がトータルで見て得、という考え方も出来ます。

目先のことを考えると、とてもそう思える心境にはなりませんけど、時には長い目で見ることも大事じゃないかと思います。

ということで、ペーパー空間を使う為のポイントとして、最後の2点を今回は紹介していきます。


■ビューポートは無駄に増やさない

モデル空間から任意の範囲をペーパー空間に抜き出すためには、ビューポートと呼ばれる窓を作成する必要があります。

これについても細かく説明したいことが結構あるので、ビューポートについては別のカテゴリで取り扱います。

ここでは簡単に、ペーパー空間上に配置する窓で、窓の中にモデル空間が表示されるという説明だけにしておきます。

こんな感じに。

 

ビューポートの一例

 

上図はペーパー空間内の画面ですが、外側にある白い四角がビューポートで、その中にモデル空間の要素が表示されています。

こうしてモデル空間を抜き出していく訳ですが、この便利なビューポートには少しだけ問題点があるんです。

それは、ペーパー空間に切り替えた際に、ビューポートの数だけ図面の再作図が必要という問題です。

これの何が問題なのかと言うと、図面のボリュームが大きくなると1回の再作図も結構時間がかかるところ。

それをビューポートの数だけ繰り返すと、もうペーパー空間への切替だけで3分くらいかかる状態になってしまうんです。

これが毎回毎回になると、時にはエラーで処理が止まったりすることもあって、全然効率的ではなくなります。

便利なはずのビューポートを使うことによって不便な状態になる、というのは本末転倒ですよね。

そうならない為にも、無駄にビューポートを増やさないようなデータの作り方が必要になってきます。

 

■ビューポートでフリーズも積極的に活用する

これは上記の問題に関連しますが、ビューポートには「このビューポートだけはこの画層をフリーズする」という機能が用意されています。

毎回再作図の時間が惜しい場合には、必要な部分だけを表示しておき、あとは全部フリーズしておくなどの処理がお勧めです。

建築の図面などは1フロアを1つのデータで作図するのが普通ですが、建物の規模によってはかなりの容量になります。

そこにビューポートを10個とか並べると、ちょっと耐えられないくらいの表示時間になることもあります。

そうした場合に、ビューポートの役割と表示範囲を考慮して、必要のない部分はフリーズにしておく。

そうすると、切替にかかる時間が劇的に早くなることが多いんです。

このあたりの詳しい説明は、ビューポートについての説明をする際に具体的にやっていきますが……

今回は、そうした問題とその解決方法について、簡単にでも良いので覚えて頂ければと思います。