同じ要素を異なる縮尺で抜き出すと
グローバル線種尺度と個別の線種尺度の関係がどうなっているのか、というあたりの話を前回は取りあげました。
線種尺度 = グローバル線種尺度 × 個別の線種尺度
個別の線種尺度は基本的に1としておき、個別に変更したい場合だけ倍率を変えて調整する、という考え方です。
この関係を踏まえた上で、モデル空間に作図する図面の線種尺度は、以下のような項目で決まります。
・個別の線種尺度とグローバル線種尺度の関係を掴んでおく
・今作図している図面の縮尺を常に意識しておく
・グローバル線種尺度をどの縮尺に合わせているか把握する
・それと異なる縮尺の図面を描く場合は、個別に線種尺度を設定する
今まで説明用に使ってきた図面の例で言えば、こんな流れになります。
・線種尺度 = グローバル線種尺度 × 個別の線種尺度
・作図している図面は縮尺1/10
・グローバル線種尺度は縮尺1/50に合わせている
・だから個別に線種尺度を0.2に設定する
ここまでの理屈は良いと思いますが、ここでようやくサンプル図面で発生している問題点について触れることが出来ます。
カテゴリー:ペーパー空間の縮尺
二種類ある線種尺度の関係は?
モデル空間をビューポートによって抜き出して、ペーパー空間に表示する際の線種尺度の設定。
これをモデル空間の尺度に合わせるのか、それともペーパー空間の尺度に合わせるのかによって、図面の見え方がかなり変わります。
点線や一点鎖線がきちんと表示されているか、もしくは全く線種が判別出来ず実線に見えてしまうか。
この違いは非常に大きい、というか、これが正しく出来ていないと図面として不完全な状態になってしまいます。
ペーパー空間を縮尺1/1で作図することを当サイトでは推奨しています。
しかしこの「線種が分からなくなる状態」というのは、ペーパー空間を1/1にした時の問題点と言えるでしょう。
推奨しているやり方には多少問題があるので、その解決方法について、ちょっと長めの説明になっています。
だったら違うやり方にすれば良いのに、と言う意見もあるかとは思いますが、別のやり方にはまた別の問題があるんです。
比較的ダメージが少ないやり方をお勧めしている、というニュアンスだと考えて頂ければ嬉しいです。
と言うことで、今回も引き続き、異なる縮尺の図面を同じペーパー空間に配置した場合の問題点についてです。
カテゴリー:ペーパー空間の縮尺
線種尺度を個別に変更する方法
前回は、ペーパー空間内の線種尺度を、モデル空間の設定に合わせた場合の問題点を取り上げてみました。
異なる縮尺の図面を表現する場合に、線のピッチが合わなくなる、という問題があるんです。
前回の話で例に出した図面がこちら。
縮尺1/10の図面では、1/50の図面に比べて、線のピッチがかなり粗くなっているのが分かると思います。
こうなってしまった場合にはどうすれば良いのか、という話を今回はしたいと思っていますが……
当サイトで推奨する、ペーパー空間の縮尺を1/1で作図する、というやり方では解決しない場合もあるんです。
今回はそのあたりも含めた説明をしていきます。
カテゴリー:ペーパー空間の縮尺
異なる縮尺を使う場合の問題
ペーパー空間を縮尺1/1にすると、なぜモデル空間では表示されていた点線などが実線になってしまうのか。
前回はそのあたりの話を、画像を交えて説明してみました。
ペーパー空間の縮尺に対する線のピッチが優先されて、ビューポートの中にもその設定が反映される。
これがオートキャド(AutoCAD)の初期設定になっているので、その設定を変えて上げれば問題は解決です。
ここまでの理屈が分かっていれば、設定する項目の名前を見て納得がいくのではないでしょうか。
「線種設定にペーパー空間の単位を使用」という項目にチェックが入っている状態が標準になっている訳です。
そのチェックを外す訳ですから、線種設定にペーパー空間の単位、縮尺1/1の設定を使わない設定にする。
つまり「モデル空間の線種設定を使う」ということです。
モデル空間内でしっかり線のピッチを設定しておいて、この設定のチェックを外しておけばOKです。
ただ、この設定にも幾つかの問題点があって、作図者がそれを理解しておかないと、どこかで線のピッチはおかしくなってしまいます。
ちょっと長くなってきましたが、今回は当サイトがお勧めするこのやり方の問題点を挙げてみたいと思います。
カテゴリー:ペーパー空間の縮尺
ペーパー空間の縮尺と線種と
ペーパー空間を縮尺1/1で作図した場合、モデル空間では表示されていた点線や一点鎖線などの線が実線に見えることがあります。
モデル空間ではこんな見映えだったのに……
ビューポートを使ってペーパー空間に表示させてみると、こんな具合に一点鎖線がなくなってしまう。
これではせっかくの見やすく調整した図面が台無しになってしまうので、そうならないような設定が必要になります。
そのあたりの設定方法を前回は説明しました。
その設定を知ってさえいれば、ペーパー空間に表示される線種が全て実線になってしまうようなことはありません。
だから設定を知っておくだけで本当は良いんですけど、もう少しだけ突っ込んで、なぜ線のピッチが見えなくなってしまうのか。
このあたりも合わせて知っておくと、さらに良いんじゃないかと思います。
そうすれば後々で応用が利く可能性もあるし、と言うことで、今回は線のピッチが変わってしまう理由を考えてみたいと思います。
カテゴリー:ペーパー空間の縮尺