オートキャド(AutoCAD)のビューポートを配置しすぎると、表示に時間がかかってしまう。
前回はビューポート運用時の注意点として、どうしてそうなってしまうのか、というあたりの話をしました。
モデル空間からペーパー空間に切り替えるには、画面下側にある「モデル」ではないタブを選択すればOKです。
非常に簡単ですよね。
ただ、その際には画面が切り替わる前に「再作図」という処理が行われる、というところが問題です。
図面の再作図処理にかかる時間は、モデル空間に作図した要素に比例して少しずつ長くなっていきます。
と言っても余程込み入った図面ではない限り、0.1秒が0.2秒になる程度の違いしかありません。
最近のパソコンはスペックが高いということもあって、そのあたりの処理はかなり早くなりました。
しかし当然のことですが、そうした積み重ねが大きくなっていくと、次第に再作図処理にかかる時間が長くなってきます。
そこで出てくるのが「再作図はビューポート毎に行われる」というオートキャド(AutoCAD)の特徴。
今回はそのあたりを取り上げてみたいと思います。
■ビューポートの数が多いと
作図する要素が多くなるに従って、図面を再作図する為にかかる時間は少しずつですが長くなっていきます。
最初は一瞬だったのに、それが0.2秒とか0.5秒とかに増えてきて、いつの間にか1秒くらいかかるようになった。
というのはよくある話です。
そして更に問題なのは、再作図処理はビューポート毎に行われる、つまりビューポートの数だけ再作図が繰り返されるということ。
例えばモデル空間で「REGEN」コマンドを実行して、再作図にかかる時間が1秒だったとします。
その図面の中で、ビューポートを20個配置したペーパー空間を作成した場合はどうなるかというと……
1秒を20回繰り返すと考えると、ペーパー空間に切り替える度に20秒の再作図処理が行われることになります。
まあそう単純な計算ではないかも知れませんが、それでも再作図処理が2倍早くなるはずはないので、それに近い時間がかかることになる訳です。
■雪だるま式に増えていく
この20秒というのはそれほど長い時間ではありませんが、何もせずに待つには充分に長い時間ではあります。
しかもその状態からさらに作図を進めていき、さらに密度の濃い図面にしていくと、1回の再作図にかかる時間はもっと長くなります。
ほんの少し再作図の時間が長くなっただけで、それが20倍になっていくというのはかなり大変なことです。
当たり前の計算を書いてしまうと、0.1秒再作図が長くなるだけで2秒も待ち時間が長くなることになります。
それが作図を進めていくに従って、少しずつ増えていく方向で、決して減る方向には進まない訳です。
そうこうしている内に、作図に支障をきたすくらいの待ち時間になってしまう、という場合もあるんです。
と言うことで、まずは出来るだけ無駄なビューポートを配置しないよう意識する、ということを当サイトでは推奨します。