ペーパー空間に直接作図することを避ける為に、通り芯などの要素も全てビューポートを使って抜き出す。

オートキャド(AutoCAD)の機能として考えると、この考え方がしっくり来ることは間違いありません。

もちろん作図のやり方は色々な選択肢があるので、「これが正解」とか私が言うようなことではありませんが。

それでもひとつの考え方として、以下のようなルールは確かに分かりやすいものではないかと思います。

・作図はあくまでもモデル空間に

・ペーパー空間には作図をしない

・ペーパー空間はビューポートを配置するだけ

ただ、この考え方を正直にそのまま実践してみると、結構たくさんのビューポートを必要とする場合が多い。

これが問題で、ペーパー空間内にビューポートを配置しすぎると、画面切替に時間が掛かりすぎてしまいます。

これはなぜなのか、そしてそれを避けるにはどうすれば良いのか。

今回はそのあたりについて、もう少し詳しく考えてみることにします。


■時間短縮の為に

仕事でオートキャド(AutoCAD)を使っている以上、時間というのは非常に貴重なものです。

これを少しでも短縮する為に、オートキャド(AutoCAD)のプロは色々な工夫をしているもの。

コマンドを開始する為の手順を減らす為、コマンドエイリアスを使ったり、不要なメニューを削除したり。

そうした細かくて地道な設定を改善することで、ほんの少し作業時間が短縮出来たりする訳です。

しかしこの積み重ねが結局は大きな差になる、というのをプロは知っているので、地味な作業ですが色々と設定を調整しているんです。

このように、作業にかかる時間というのは貴重なものですから、無駄な時間というのは極力避けたいところです。

そうした時間の考え方を踏まえて、ビューポートを増やした時にかかる時間について考えてみると……

 

■再作図の回数

オートキャド(AutoCAD)では、モデル空間からペーパー空間に切り替える際に、オブジェクトの再作図が実行されます。

再作図というのはオブジェクトが多い程時間がかかるものです。

ただしこれは画面の切り替え時にどうしても必要な動作なので、ある程度は我慢するしかないものでもあります。

しかしペーパー空間に画面を切り替える際には、ビューポート毎にこの再作図が実行されるんです。

ビューポートの配置が1ヶ所であれば、再作図は1回で済みますが、10ヶ所であれば当然10回の再作図が実行されてしまいます。

モデル空間内に作図したオブジェクトが多ければ、1回の再作図にも結構な時間がかかります。

それが10回繰り返されてしまうと、場合によっては非現実的な待ち時間が発生することもあるんです。

ペーパー空間に移動するたびに少し休憩が必要だとか、そういう状況になってしまうとキツイですよね。

せっかくオートキャド(AutoCAD)の操作を効率化しても、このようなところで無駄な時間がかかってしまう。

もちろんデータ容量によってこれは大きく違う訳ですけど、こうした状況は出来るだけ避けた方が良いんじゃないか。

少なくとも私はそう考えています。