用紙サイズとマージンと図面枠によって、実際に図面として表現出来る領域がある程度決まってくる。

そして、そうした作図領域の中にも、キープランや凡例などの「必ず記載が必要なもの」があって、作図に使えるスペースもう少しだけ狭くなる。

前回はそんな内容の話をしましたが、まあ凡例やキープランというのは図面の種類によって色々と変わるもの。

だから、絶対にそれらの要素が必要なのかというと、それはちょっと断言出来ないものがあります。

しかし図面というのは相手に何か伝える為のツールですから、何かしらの説明はそれぞれの図面であるはずです。

そうした「図面として必要な要素」を表示する余地を残しておくことも、図面のレイアウトでは重要になってきます。

具体的には、作図領域の中で下図のような範囲を、そうした説明用のスペースに残しておく、というような感覚です。

用紙とマージンと図面枠の関係

ギリギリまで作図要素を表現してしまい、肝心の凡例などの説明が入りきらない……という状態になったり。

そうした残念な状況を避ける為に、図面のレイアウトには気を配っていくことをお勧めします。

今回はそんなレイアウトを、実際にオートキャド(AutoCAD)上で数値を出して色々と考えてみます。


■実際の作図領域

上記の図面で「作図領域」として色をつけた範囲に、そのままビューポートを配置するとどうなるかというと……

ビューポートのサイズは以下のようになります。

作図領域の範囲

用紙サイズに対して作図で利用出来そうなサイズは、こんな感じの関係になっている訳です。

A1用紙サイズ 横841 縦594

印刷可能領域  横680 縦540

これらの数値は図面枠の大きさなどによって多少の前後はありますが、それでもそんなに大きくは変わらないはず。

なので、この作図領域=ビューポートのサイズを一例にして、モデル空間でどの程度の範囲が作図可能なのかを考えてみます。

 

■作図可能範囲と印刷可能範囲

680mm×540mmの作図領域というのは、図面の縮尺によってはあまり大きなものを表現出来ないサイズです。

例えば縮尺1/1であれば、そのまま680mm×540mmのサイズ以上のものは図面枠に入り切りません。

縮尺1/5の図面であれば、それぞれの辺を5倍にした数値、3400mm×2700mmまでを表現することが出来ます。

印刷可能領域よりも大きな範囲に作図をして、ビューポートで抜き出す時に縮尺を設定する。

そうしたやり方をする為、縮尺の分母が大きければ大きいほど、用紙サイズよりも作図領域が大きくなっていくことに。

逆に言えば、作図領域が広ければ広いほど、図面の縮尺を小さくしないと表現が出来ないということです。

これは、印刷可能範囲よりも10倍広い範囲に作図をして、モデル空間で印刷をする際に1/10で印刷する、という関係に似ています。

ビューポートと印刷可能範囲についての考え方は非常に大事なので、ここでその概念をしっかりと掴んでおくことをお勧めします。