オートキャド(AutoCAD)のペーパー空間を利用する際の基本的なルール、という話を今は続けています。

そんな中で、ペーパー空間の中には図面1枚分だけを配置する、という話を前回は取り上げてみました。

ペーパー空間内には作図の制限が特にないので、やろうと思えば6枚の図面を同じペーパー空間に配置することも出来ます。

こんな具合に。

 

図面枠を6つ並べたところ

 

このやり方を採用すると、印刷をする際には全て同じペーパー空間の中で済む、というメリットがあります。

そうなると、わざわざ違うペーパー空間に移動しなくても良くなって、時間の短縮につながる可能性もあります。

その分だけビューポートが増えるので、最初の画面切替にはかなり時間がかかるというデメリットも。

やり方によってメリットとデメリットは変わってくるので、それをしっかりと掴んで使いこなすことが大事、ということになります。

ただ、当サイトでは、ペーパー空間1つにつき図面は1枚、というやり方を推奨しているので、今回はその理由を説明していきます。


■ペーパー空間内に図面枠を1つだけ配置

ペーパー空間がどれだけ広くても、A1の用紙サイズで縮尺1/1の印刷範囲を利用するだけ。

これはなぜかというと、印刷を連続でオートキャド(AutoCAD)に処理してもらう為です。

もちろんペーパー空間に表示可能なビューポートの数には、基本的には制限がありません。

なので、先程も書いたように、1つのペーパー空間内に図面枠を6つ並べることも問題なく出来ます。

でも、それでは連続印刷をする際に困るんですよね。

図面が6枚になる場合には、それぞれの図面ごとにペーパー空間を作成する方が良いと私は思います。

連続印刷処理をする際には、毎回オートキャド(AutoCAD)側で同じ処理が出来るような状況を作る必要があります。

CAD側で毎回同じ処理をする訳ですから、印刷時にユーザーからの入力が必要になる状況を完全になくすことが条件です。

そうしないと「この設定で全部印刷してほしい」とオートキャド(AutoCAD)側に伝えることは出来ません。

これが、図面ごとにペーパー空間を作成する、というやり方をお勧めする大きな理由です。

 

■連続印刷の為に

この連続印刷処理のやり方は後で具体的に手順を説明しますが、必要なのはそれぞれのペーパー空間で共通利用できるページ設定なんです。

しかし、上図のように図面枠を6つ並べてしまった場合には、共通で適用可能なページ設定というのは実現出来ません。

そのペーパー空間内にある図面を印刷する際には、「6つのどの図面を印刷するのか」を自分で設定する必要がありますから。

具体的な操作方法としては、窓選択で印刷する図面枠を囲ったり、ビューを作成してそのビュー名を選択するなどの操作が必要です。

そういう設定を毎回しなければいけない状況では、少なくとも自動的な連続印刷処理は出来ないんです。

また、複数の図面を1つのペーパー空間に配置すると、どうしてもビューポートの数が増えてしまうという問題点もあります。

ビューポートの数が増えればそれだけ表示にかかる時間が増えて、オートキャド(AutoCAD)にかかる負担も増えます。

そうなると、無駄に時間をかけてしまったり、最悪の場合はエラーで強制終了してしまったりという問題が発生します。

そうした問題を回避する為にも、ペーパー空間には図面を1枚だけにしておくことをオススメします。