ペーパー空間の内容をモデル空間に書き出して、それをdxfデータに変換して他のCADで開く。

この手順は確かに便利だけれど、毎回それをやるのは結構大変だし、あまり効果的ではない場合も多いです。

どのあたりが大変な作業なのか、という話を前回はしましたが、何となく大変さは伝わったでしょうか。

実際にやってみると、10回以上同じ操作を繰り返すのは、いくら仕事とは言ってもやっぱり苦痛だということが分かります。

もちろん苦痛だからやらないという単純な話にはなりませんが、あまり意味のない作業をすることだけは避けたいところ。

こうした手間のかかる作業は、本当に必要な時にだけやる、というのが理想ではないかと思います。

その為には、ペーパー空間の内容まで変換する必要があるのか、それともそこまでは必要ないのかの判断が必要です。

それはつまり、オートキャド(AutoCAD)のデータを変換して渡す相手が、どんな用途で使うのかを知るということ。

作図された図形を利用してさらに作図をしていくのか、図面を重ねて何かのチェックに使うのか。

用途は色々とありますが、その用途によってどんなdxfを作成するのかを決める、というのが効率的じゃないかと思います。

そんなdxf変換の最後として、なぜあまりお勧めできないモデル空間への変換を紹介したのか、という点を今回は取り上げてみます。


■機能よりも相手の要望

オートキャド(AutoCAD)の図面データをdxf形式で保存する際に、全てのペーパー空間をモデル空間に変換するのは大変な労力です。

その手間をかければ相手は少し喜ぶかも知れませんが、別に1つのデータでも良かった……と思われる可能性も少なくありません。

そうなってしまうと、時間はかかるし相手は喜ばないしで、良いところはひとつもないという残念な結果になります。

オートキャド(AutoCAD)を使って仕事をしていると、どうしても便利な機能とかを使いたくなるもの。

だけどそうした技術的な発想よりも「どうすれば相手が喜ぶか」という客商売的な考え方の方が大事です。

相手の要望を出来るだけ満たす為にオートキャド(AutoCAD)の機能があるのであって、その逆ではダメなんです。

このあたりはオートキャド(AutoCAD)のスキルを高めていくうちに、どうしても勘違いしてしまいがち。

これはベテランになる程その傾向が強いので、私も気を付けないといけないと常に思っています。

 

■選択肢が多い方が有利

と、そんな私の話はさておき。

強くお勧め出来ないと言いつつ、ペーパー空間をモデル空間に書き出す機能を紹介したのは、操作の選択肢を拡げる為です。

その機能をどのタイミングで使うかのジャッジは別として、やはり知っているのと知らないのとでは大きな違いがあります。

使う機会があまりないという話もありますが、こうした機能があることを知っておくのは悪いことではないですから。

その機能を使うのが良いのか、それとも使わない方が良いのか。

それはそれぞれの状況で違ってくるはずなので、使わない方が良いとか悪いとかをここで断言することは出来ません。

オートキャド(AutoCAD)の機能は、あくまでもお客さんの要望に応える為の道具でしかありません。

道具が多い方が操作の選択肢が多いですから、それが少ない場合に比べるとやはり有利になってくるはず。

ペーパー空間をモデル空間に書き出すことが出来る、という機能を紹介したのも、いつかこの機能が活躍する機会があるはずだからです。

何が何でもこの機能を使いましょうとか、全く無駄な機能なので使わない方が良いですとか、そうした極端な意見ではありません。

そうではなく、色々な選択肢の中で選ばれる場合がある機能、という程度の認識で覚えておくことをお勧めします。