オートキャド(AutoCAD)でビューポート機能を使う際に問題点として、前のカテゴリでは以下のような項目を紹介してきました。

・ビューポートを駆使しすぎると複雑で分かりにくい

・ビューポートの数を増やすと表示に時間がかかるようになる

・ペーパー空間内での作業は比較的エラーが出やすい

・他のCADへの変換が上手く出来ない

これらの問題点は、実際に仕事を進める上でかなり困るレベルから、それ程でもないレベルまで色々あります。

機能の特徴を考えればこのくらいは仕方がないかな……と思うような問題点も確かにあります。

ただ、決して影響は大きくない問題点であっても、使い方に気を配るだけで大幅に状況が改善することもあるんです。

ここが大きなポイントです。

影響が大きくないからと言って、解決しなくても良いという訳ではないので、出来る限り積極的に解決をしていきたい。

そうした改善を出来る限りやっておき、少しでも無駄な作業を減らしていくというのはちょっと地味な話かも知れません。

でも、それをやる人とやらない人の差は少しずつ開いていき、最終的にはかなり大きな差になっているものです。

効率化を突き詰めることがプロには求められますから、まずはビューポートを使う際の問題解決方法を知っておきましょう。


■分かりにくいという問題点

まずは「ビューポートを駆使しすぎると複雑で分かりにくくなってしまう」という問題点から。

ペーパー空間に配置するビューポートは、作図する側がやりたい色々なことを実現することが出来ます。

モデル空間でどの部分を、どんな縮尺で、どんな表示設定で抜き出すのか、というあたりがかなり自由なんです。

これは機能としては非常に良いことなんですけど、自由度が高いと人によって使い方が結構違ってきます。

どのあたりが違ってくるのかというと……

・ペーパー空間の縮尺を1/1にするか図面の縮尺にするか

・ビューポート毎のレイヤー表示設定はどんな設定なのか

というあたりが大きく違ってくる部分です。

例えば1/50の図面を作図する場合であっても、対象はそのままの大きさでモデル空間に作図するのがオートキャド(AutoCAD)の基本です。

しかしそれを図面化する際に、ペーパー空間を841×594サイズ、つまり原寸1/1で作図するのか。

それとも図面の縮尺は1/50なのだから、そのまま1/50で作図するのかは、作図する側の自由です。

ペーパー空間の縮尺が1/1ならビューポートの縮尺が1/50に、ペーパー空間の縮尺が1/50なら同じく1/1になる。

そうした設定の違いはあっても、最終的には紙に印刷される図面となった際には、両者に違いはありません。

また、それぞれのビューポート毎にレイヤーの表示非表示設定が出来たり、レイヤーの色を変えたり出来るのも便利です。

しかしビューポート毎に設定を変えすぎると、図面修正時にモデル空間でどんな修正をすれば良いのかが非常に分かりにくいです。

自分で設定していない場合は特に。

そうした自由度の高さに対して、どのような解決策があるのか、という話は次回に続きたいと思います。